久留米絣という名の未来を共有するインタビュー
2020年5月7日 氏名 春山慶彦(株式会社ヤマップ 代表取締役)
- 久留米絣を知ったきっかけ(過去)
織物は、その土地の風土と人々の生活の知恵の結晶です。足下の生活や暮らしを大事にしたいと願うのであれば、自分が暮らしている地域の織物を慈しみ、日々の暮らしに取り入れよう。その思いの延長で、久留米絣にたどりつきました。とはいえ、そう思った2010年頃、男性が履ける久留米絣の衣服は、私が知る限り作務衣しかありませんでした。作務衣から久留米絣との付き合いがはじまりました。
- 久留米絣と私(現在)
久留米絣の作務衣パンツを履くようになってから、それまで親しんでいたジーパンが履けなくなりました。それ程までに、久留米絣は肌に心地よく、快適でした。久留米絣の素晴らしさを実感するにつれ、「なぜこの素晴らしさが、地元の人を含め一般の人たちに伝わっていないのか」「淑女が身につける衣服としてのイメージが強くなり過ぎてしまっていないか」など、考えるようになりました。微力かもしれないが、私なりのやり方で久留米絣の良さを広めたい。その試みとして、下川織物さんにもお力添えをいただきながら、「久留米絣×登山」という切り口で、久留米絣を使用したサコッシュや登山パンツを製作し、販売しています。
- 自身の人生における絣の存在(未来)
伝統産業は、幾世代にも渡り日々の挑戦を続けてきたからこそ、現代にまで受け継がれています。私たちベンチャー企業は、異国のIT産業だけでなく身近な伝統産業からも、挑戦の価値と意義を学んでいかなければなりません。伝統産業が培ってきたベンチャースピリットと温故知新の精神を見習い、YAMAPの事業を成熟させ、地域に貢献していきたいと思います。
<ヤマップ 春山慶彦さんについて>
福岡市に拠点を置くベンチャー企業 株式会社ヤマップの代表取締役社長
春山さんとの出会いは、私にとって印象的だったので今でもはっきり覚えている。地元・福岡で急成長を遂げるベンチャー企業を特集したニュースで紹介されていたのが春山さんの会社「ヤマップ」だった。その中で「気づき」として得たのは「道路地図はあっても山の地図はない」。それを現代の生活に欠かせない必需品となっている「スマートフォンアプリ」で山の地図を作った発想が心に深く刺さった。「実際にお会いして話を聞いてみたい」そんな風に思っていたところその数日後に、春山さんは弊社工場を訪問してくださった。私のほうからは、何のアプローチもしていなかったからとても驚いた。しかも春山さんご自身久留米絣の愛好家だと聞いて二度驚いた。「引き寄せの法則」が働いたのだろうか。今回のインタビューでそれを確信できた気がする。