JR九州「ななつ星」ナイトウェア企画

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概要

2013年より運航されているJR九州の「ななつ星in九州」は日本国内においては九州を周遊する日本初のクルーズトレインとして絶大な人気を誇る。2022年秋のリニューアルに伴い、久留米絣を使用したナイトウェア(パジャマ)を新サービスとして提供する企画が持ち上がり、素材の開発、生産に携わらせていただいた。

「ななつ星」とは

米有力旅行誌「コンデナスト・トラベラー」の2022年の読者投票で列車部門の首位に2年連続で選ばれた。世界最高峰の観光列車。ベッドから洗面台、木工品、食器に至るまで日本の職人による手作り。その豪華さは、その乗車料金にも表れているが、運航開始から予約が取れないほど。「走るベルサイユ宮殿」と言われるほどの絢爛豪華な車内だけでなく、金色のエンブレムが輝き、古代漆色と表現される重厚感のある車体は見るだけでも幸せに包まれる。

今回のお取り組み内容

ななつ星に乗車されるお客様に最高の満足感を体感していただくため、幾度となく試作を重ね、色、風合いを追求した。久留米絣は括りと呼ばれる技法による柄の表現が特徴だが、100年前に開発されたY式織機をベースにした絣織機で織りあげた生地の柔らかく、ぬくもりのある風合いも特徴である。今回は無地での提案だったため、色や風合いの微妙な違いを試行錯誤して、ナイトウェアとして納得のいく素材を提供することができた。久留米絣のデザイナー古賀円さんのコーディネート、ラグジュアリーナイトウェアブランドとして有名なFoo Tokyoさんの制作によって完成。細部にわたりこだわりぬいた一品。

コーディネーターとして企画をまとめていただいた古賀円さん

 

メディア情報

TVQ「ふくサテ」で1月25日に放送される。制作秘話や今回の取り組みを通じて将来にわたってのビジョンなどを紹介させていただきました。

https://www.tvq.co.jp/news/news.html?did=2023012500000005

*1週間の限定配信となっております。

 

以下、TVQさんのサイトより抜粋

JR九州 鉄道事業部 仲菜奈子さん:
久留米絣、地域の素材を使った手間暇をかけ守られてきたものを客に体験してもらいたいと思った。

Next Branders 桑原真明社長:
その土地にあるものを使ったものづくりをしたいなと考えたのが最初のきっかけ。(生地が)結構硬いイメージがあったが最近のデザインでは柔らかい久留米絣も出てきている。久留米絣でも部屋着にできるのではないかと。

下川織物 下川強臓さん:
経済的な部分は切り離せない。自分の目標や理想だけで食べていけない現実はある。理想と現実のギャップが原因として大きいと思う。

さらに原材料となる綿の価格は世界的に上昇し続け、経営の負担になるなど、久留米絣を守り続ける環境は厳しくなっています。そこで久留米絣協同組合では伝統的な藍染めだけでなく、色味を増やし洋服を作ったりファッションショーを開催するなど若い人にも受け入れられるようさまざまな展開を行っています。
今回、ななつ星の室内着に久留米絣が採用されたことで新たな展開ができるのではと期待をよせています。
しかし、そのデザインが決まるまでには多くの苦労がありました。

JR九州の豪華寝台列車ななつ星の室内着に採用された久留米絣。現在のデザインになるまで多くの苦労があったといいます。

Next Branders 桑原真明社長:
生地の難しさ、デザインの難しさ、縫製のサンプルの難しさといういろいろな難しさがあり、通常より1.5倍の期間をかけ制作した。

最初に選んだ生地は着心地が良くなかったために見直し、実際に洗濯して変色具合を確認。化学繊維と違い生地が伸びないため数センチ単位でサイズを調整しました。また一般的な生地の幅は1メートル以上あるのに対し久留米絣はわずか38センチ。通常より多くなる縫い目がデザインや着心地に影響しないよう縫製も試行錯誤を繰り返しました。
その結果、通常は半年から1年で試作品ができあがるところ、今回は1年半以上もかかったということです。
多くの苦労を重ね、見事、ななつ星に採用された久留米絣の室内着。今後の発展に必要なものとは何でしょうか?

Next Branders 桑原真明社長:
ななつ星やラグジュアリーブランドの生地として使われるということがありつつ、
日常的にそばにあるという構図を作る、そういう環境や仕組みを作ること。

下川織物 下川強臓さん:
新商品開発事業をこれから積極的にやっていこうと思っている。新しい販路開拓や関わりのなかった業種業態の人に久留米絣を知ってもらう機会を作り続けなければならない。

 

久留米絣織元 下川織物

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