久留米絣という名の未来を共有するインタビュー
2020年 5月5日 氏名 江口 久美
- 久留米絣を知ったきっかけ(過去)
人生のルーツをたどる
久留米絣を知ったきっかけは、学生からの依頼を通じてでした。人生において小さな頃からなんとなく久留米絣という名称は知っていましたが、実際に触れる機会がありませんでした。2016年、九大・決断科学センターで学生の活動を募集した際に、Monpersの須藤くんから、活動の顧問を依頼されたことがきっかけです。その活動は、「伝統工芸を対象とした消費者の立場からのプロモーション活動の試み」というテーマで、久留米絣を大学の立場から盛り上げるものでした。元々、ファッションにとても興味があったので、喜んで引き受けました。その後、実際に八女に実習に行った際に、うなぎの寝床でもんぺに触れ、購入したのが、ファースト・コンタクトです。偶然にもそのもんぺは、下川織物さんの生地でした(1枚目の写真のもんぺ)。
- 久留米絣と私(現在)
生活やビジネスにおける関り
Monpersの活動(2枚目の写真)に参加して、学生と共に下川織物さんの工房を訪れたり、暮らしの中の伝統工芸について発信するフリーペーパー「Kasur」を制作したりする中で、久留米絣の魅力に気付き、日常的にもんぺを着用するようになりました。大学の仕事柄、出張で世界中の色々な場所に行くことが多いのですが、久留米絣のもんぺは機能的で通気性も良く、動きやすく、かわいい柄も多いので、出張先でも愛用しています。1枚目の写真は、出張先のギリシャのサントリーニ島です。また、絣が発祥地のインドから世界中に伝播していることを知り、2017年から絣の柄の発展の進化系統学的研究を共同研究者と行っています。メキシコ、フランスなどで絣産業の現状についても、現地視察を行いました。
- 自身の人生における絣の存在(未来)
久留米絣と寄り添って、これからを生きていく
これからは、持続可能な社会を実現する必要があり、特に、ファッションの分野では、大量生産・大量消費型のファストファッションを脱却し、良いものを長く使い続ける、という方向に切り替えていく時期に来ていると思います。久留米絣は、先人の知恵が生かされつつも、現代の感覚が取り入れられた「新しい伝統工芸」であり、長く使い続けられる良いもの、として久留米絣をこれからも日常に取り入れて生活していこうと考えています(3枚目の写真は、リサイクルショップから頂いた絣の着物(生産地不詳)と、久留米絣でも昔から織られている亀甲文様をあしらった久留米地方で織られた綿織物の半纏です)。
<江口久美さんについて>
所属:九州大学持続可能な社会のための決断科学センター
江口先生とは、いわゆる商取引におけるお取引先という関係性ではないが
江口先生たちが活動されている「Monpers」との出会いが
「久留米絣を通じたグローバルな活動」を強く意識するようになったきっかけを
いただいたというご縁を感じている。
また江口先生が所属されている「九州大学決断科学センター」のみならず
九州大学大学院、九州大学芸術工学部の先生、学生さんにはじまり
現在では、その他多くの大学とも関係性を構築することができ、
久留米絣を別の角度から再考し、新たな領域での取り組みにつなげていくという
それまでになかった発想を授かった。
今後も双方向から久留米絣に新たな風を吹かせていきたい。