3代目のブログ(スタジオライブレポート 最適化)

<絣糸の最適化>

久留米絣は、括り(くくり)と呼ばれる技法であらかじめ糸に柄を施しますが、図案に設計する際に「最適化」と考えます。

思い描いた図案で必要な糸の束(本数)は、当然、常に一定ではなく柄によっては絣糸の比率が多い物や逆に絣糸の比率が非常に少ない場合など、様々です。しかし括り工程においては糸の分量は一定でなければなりません。そのため仮に柄を構築するのに30本しか絣糸を必要としない場合でも括り工程の中では120本の糸の束を必要とするなどの状況が多々生じます。1回の括り工程で12反(144m)分の絣糸の仕込みで終わる柄もあれば、48反(576m)の絣糸の分量ができる場合など制作する柄によって大きく変わります。そのため図案上で絣糸を使う比率を増やしたり、減らしたりして柄を修正し、仕込みと織りのバランスで「最適化」を考えます。

特定の企画柄など柄の修正が困難な場合や柄のバランスが著しく崩れる場合なども発生するために最終的に絣糸が余ってしまう場合も多々あります。その場合は、余った絣糸を有効活用するために絣糸を基準にした新たな柄を設計します。生地幅すべてに使用する糸の分量は、絣糸と地糸(柄が入ってない無地の糸)で構成されますので、地糸についても同様に余った糸を有効活用するために新たに図案を設計し絣糸との掛け合わせで作ります。概ね独創的な幾何学模様になる場合が多いですが、様々な絣パターンと地糸の配色により柄を再構築する作業は、職人としてのキャリアをスタートさせた頃から意識的に取り組んできたこともあって、今では得意分野となりました。糸を見るだけで頭の中に柄が浮かんできて「柄の最適化」が一瞬でイメージできます。

 

久留米絣織元 下川織物

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