<仕様>
主な技術:立絣、動力織
経糸(たていと):綿40/2
緯糸(よこいと):綿20/1
化学染め100%
<由来>
昭和初期に動力織機が導入されるまでは久留米絣はすべて手織りで生産されていた。小柄の絣模様もすでに江戸時代1850年頃から作られるようになっていた。先人の多くの職人の創意工夫により緻密で美しい藍染めのタテヨコ絣で小柄の絣は多く作られてきた。現代において当時のような緻密な小柄のタテヨコ絣を織ることのできる職人は、数人も残っておらず、それは商業的に成り立たなくなっている側面が大きいことは否めない。そこで当時の小柄に思いを馳せながら、動力織機による「立絣」技法を用いて商業ベースに見合った小柄の絣を織ることを続けている。
<柄の特徴>
図案上は同じ大きさ、同じ間隔に規則正しく配列されたアラレ模様になっている。
括り(くくり)技法によって糸を縛り防染することで柄を浮かび上がらせる絣技法で実際に織られた模様を見ると、微妙に柄の大きさ、間隔が違っていることが見てわかる。これは計算の上で意図的に表れたものではなく絣の技法で作った結果表れた予測不能な柄の表情。生地全体を俯瞰してみるとバランスは整っていて違和感はない。「図案上に表現できない予測不能のかすれ模様、表情」こそが絣の真骨頂。補足すると生産性、製造コストを無視して作れば、もっと図案に忠実な柄の表情に近づけることが可能な方法があるという点は付け加えておきたい。あくまでも市場に流通させるために商業的にコスト計算したうえで生産方法を組んだ点は無視できない。
<応用と発展>
この柄を見たときに様々な思考がすぐに頭に浮かぶ。
色展開:経糸、緯糸を違う色に染めることで同柄色違いを作ることが可能。
柄展開:括りの間隔の変化で柄の大・中・小を変えることができる。
厚み:糸の太さを変えることで薄手~厚手と季節感に応じた質感を作れる。
久留米絣織元 下川織物
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