宮崎(ご夫妻)さん

久留米絣という名の未来を共有するインタビュー

2021年10月27日 宮崎(ご夫妻)さん

 

  • 久留米絣を知ったきっかけ(過去)

福岡県で生まれ育ち、高校では臈纈染め、大学では染織を学びました。そして、卒業後はテキスタイルや商品企画のデザイナーとして働く中で、様々な地域のテキスタイル産地と関わるようになり、そのことがきっかけで、日本の伝統的な生地や、文化に興味を持つようになりました。そして、自分自身の出身地である福岡県の伝統的な生地にも、さらに興味を持つようになりました。私は、どちらかというと、和の要素のある生地が好きだったので「久留米絣」に関わらず、日本にある絣の生地全般に昔から興味がありましたが、やはり自分の生まれたルーツの、一番近くにある久留米絣には、昔から親近感があり強い関心がありました。

  • 久留米絣と私(現在)

自分たちの結婚という節目に、せっかくだから、自分の生まれた福岡県の「久留米絣」の伝統的な生地で、自分たちのデザインを活かしたオリジナルのハレの生地を創りたいと思ったのをきっかけに、下川織物様のもとを訪ねました。この日をきっかけに「久留米絣」についての興味や知識が深まるとともに、より久留米絣が好きになりました。私は新たなチャレンジが好きなので、今回の企画では、どちらかというと和のイメージの強い久留米絣を、あえて「タキシード」という洋のアイテムに落とし込むことで、久留米絣の新たな魅力が発信できたらいいなという思いがありました。生地の色は、普段久留米絣を着ないような男性でも着やすくするために、一般的な久留米絣の紺と白でなく、使用している2色の差があまり出ないようにしたい、という思いや、柄の細かさなども、下川様にこだわり部分をお伝えし、色々と試行錯誤をしていただいたおかげで、無事に形にすることができました。結婚式では、今回製作いただいた生地を使用した、タキシードとワンピースを家族の前でお披露目することができ、良い記念にすることができました。改めまして、今回の企画に携わっていただきました下川織物様をはじめ、皆さまに深く感謝いたします。

 

 

 

  • 自身の人生における絣の存在(未来)

生地の完成までに30もの工程を必要とする「久留米絣」は、決して機械の力だけではできない、人の手の温もりが加わった美しい生地です。無駄な工程のようで必ず無駄ではないその作業工程こそ、私たちは後世にも受け継いでいかなければならない技であることは確かです。久留米絣のモンペや、スカートも愛用しておりますが、綿の柔らかい風合いはとても居心地が良いです。今回、製作いただいた生地を、今後も育てていくとともに、これからも、見せかけの生地でない「久留米絣」の魅力を発信し、自身の生活の中にも、絣を取り入れて、居心地の良い生活を送っていきたいと思います。

 

宮崎さん(ご夫妻)について

お二人は、2020年の暮れに工場見学に来られ、ご相談をいただいた。久留米絣は、手織りでも動力織りでも「生産ロット」というものがあり、タキシード一着分だけ生地を製作するということができない。そのため、オリジナルの図案作成から今回のような案件をお引き受けするというのは、経営的な観点から考えると難しく、過去にこのような案件で久留米絣を製作した事例は、産地全体を見渡してもほとんどなかったように思う。しかし、お二人のお話をお聞きするうちに単なる結婚式のためだけという一過性のものではなく、今後の人生の中で久留米絣と寄り添っていきたいという思いを感じ取ることができた。下川織物の取り組みとして事業的に成立する形でなんとか、お二人の思いをカタチにすることは出来ないかと熟考を重ねて「夢を叶えるプロジェクト」として事業化する方法を試みた。お二人の結婚式を終えて職人としての責任を果たせたことに安堵している。

 

久留米絣織元 下川織物

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