3代目のブログ（スタジオライブレポート2021.1.14）

久留米絣の動力織機は、トヨタ織機が約100年前に開発したY式と呼ばれるタイプがベースになっております。その後、板状の木管に巻いた緯糸を装着する「シャットル」、シャットルが往復する「レース」と呼ばれる土台、シャットルを押し出すステッキの押し出しのパーツなど部分的に改良された「絣専用織機」はトヨタではなく絣の産地で独自に作られました。絣用動力織機を採用した備後・伊予・久留米の三つの産地は飛躍的に生産力が向上し、日本三大絣と呼ばれ日本国内における代表的な絣産地となった歴史があります。

時代が昭和から平成に移行する中で備後・伊予の産地では絣専用動力織機の生産は終了し、現在では久留米絣産地でのみ稼働していますが、その久留米産地内でも動力織機を保有し商業ベースで稼働させている織元は１０件程度とごくわずかです。それはつまり世界中を見渡してもこの絣技術を維持継承し生産しているのは、久留米絣だけということを意味し希少性の高い絣織物であるということに対する認知度は意外と低いと感じています。そのことをもっと広めていくことは、この希少な技術及び絣織物そのものを次世代に継承していくために大事なことだと捉えて日々の情報発信に努めています。