文人絣(ぶんじんかすり)をつくる
ここでは、文人絣(ぶんじんかすり)が、どのようにしてつくられるのか説明します。
書生絣(しょせいかすり)などとも呼ばれ、男物の着物地としてつかわれることの多かった柄です。
作家さんなどが好んで着られていたことから、この名前がついたといわれています。
括り(くくり)技法では、つくれない細かい柄を作るときに、この織貫(おりぬき)という技法を用います。
その作業工程を順に説明します。
まずは織貫織機に原糸を20本たてて織り機の管に通します。
この20本まとまった糸を横糸にして、目の粗いたて糸に織っていきます。
この織機は、一応機械織りですが、手織りのほうが早いくらいゆっくりの回転で織り上げてます。
織り上げる長さは、決まってます。
織り上げたこの生地を藍(あい)で染めるため、藍瓶(あいかめ)の底につかない長さが目安です。
藍(あい)で染めた後、20本の束になった横糸をほどくと、たて糸と交差した部分は染まっていません。
このほどいた横糸を絣糸(かすりいと)として、たて糸、ヨコ糸に用いることで文人絣が出来上がります。
その他にも糊入れ、カセ上げ、チーズ巻、タテ整経などの工程があり、それらは専用の道具を使って手作業で行う部分が多いです。
つくる柄によって若干異なりますが、反物になるまで、2~3か月かかります。
この織貫のたて糸、横糸の交差の間隔をあらかじめ計算することで亀甲柄(きっこうがら)、蚊絣(かがすり)などとよばれる非常に細かい柄がつくられていましたが、現在では手間がかかりすぎて、人件費等生産コストの問題でつくられることは、ほとんどなくなりました。
この織貫技法を継承して現在でも生産しているのは、久留米絣の織元のなかでもわずか数件となりました。
この貴重な技術を継承していくため誇りをもってこれからも作り続けたいと思います。